ADHDの診断について

ここでは、コーチング中にも質問の多い、ADHD(注意欠如・多動症)の診断について解説します。

なお、SAC’s blueではクライアント様に対するADHDの診断は行っておりません。診断は医師によって下されます。あくまで、メンタルクリニック等でADHDの診察を受ける際の参考情報として下さい。

目次

ADHDの診断を受けるためには

まず、お近くの精神科、診療内科、メンタルクリニックを探すところから始まります

定期的に診察や処方を受けることになりますので、なるべくご自宅・職場などから通いやすい場所を選ぶことをおすすめします。

また、大人の発達障害(ADHDを含む)を取り扱う病院やメンタルクリニックは限られているので注意してください。

下記のサイトなどで事前に調べることができます。

ADHDの診断基準について

お医者様の診断を受ける際、どのような診断基準に基づいてADHDと判断するのでしょうか。

ここでは、ADHDの診断基準として多く使用されるアメリカ精神医学会のDSM-5の診断基準を紹介します。

DSM-5によるADHDの診断の際は、「不注意」「多動性-衝動性」の2つの診断基準に分けられます。

「不注意」「多動性-衝動性」の診断結果によって、以下の3ついずれかのADHDタイプの診断となります。

  • 「不注意」の診断基準が当てはまる ➡ 不注意優勢型
  • 「多動性-衝動性」の診断基準が当てはまる ➡ 多動性・衝動性優勢型
  • 「不注意」「多動性-衝動性」の両方当てはまる ➡ 混合型

さらに、DSM-5の診断基準では、以下の診断基準を全て満たす場合にADHDと診断されます。

 ・症状のいくつかが12歳以前から認められること

 ・2つ以上の状況(家、学校、職場、その他の活動中など)で障害となっていること

 ・対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること

 ・他の精神疾患では説明できないこと(統合失調症など)

特に、ADHDの診断でよく確認されているのは「2つ以上の状況で障害となっているか」とのことです。

家だけで困っている、職場だけで困っているなど、1つの状況だけの場合は、ADHDとは異なる別の原因がある可能性が考えられるからです。

「不注意」の診断基準

「不注意」の診断基準には、チェック項目が9つあります。

17歳未満であれば9項目のうち6項目以上、17歳以上であれば5項目以上、同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められることが当てはまれば、診断基準を満たします。

(a) 生活の中で不注意なミスをよく犯す

(b) 注意が持続できないことが多い

(c) 話を聞いていないように見られる

(d) 物事を最後までやり遂げることができない

(e) 順序だてて活動に取り組めない

(f) 精神的努力を避けることが多い

(g) 物をなくしやすい

(h) 外部からの刺激で気が散りやすい

(i) 生活の中で忘れっぽい

「多動性-衝動性」の診断基準

「不注意」と同様、「多動性-衝動性」の診断基準にも、チェック項目が9つあります。

17歳未満であれば9項目のうち6項目以上、17歳以上であれば5項目以上、同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められることが当てはまれば、診断基準を満たします。

(a) そわそわ体を動かしてしまう

(b) 席に座る状況でしばしば席を離れてしまう

(c) 不適切な状況で走り回る、高い所に登る

(d) 静かに遊んだり楽しんだりできない

(e) じっとしていられない

(f) しゃべり過ぎる

(g) 質問が終わる前に答えてしまう

(h) 行列に並ぶことが困難

(i) 他人を遮ったり、邪魔する

心理検査「WAIS-Ⅳ」について

お医者さんは問診だけでなく、しばしばウェクスラー式知能検査の1つである「WAIS-Ⅳ」と呼ばれる心理検査の結果を、ADHDの診断の一助とする病院もあります。

WAIS-Ⅳは、精神科や心療内科で使用されることが多い知能検査の一種で、言葉に関する説明や数・図形に関する問題など、様々な種類の問題に取り組むことで、個人の基礎能力をはかる検査です。

「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」という4つの指標と、それらを合わせた総合的な指標「全検査 IQ」で個人の特性を評価します。

言語理解蓄えられた知識や常識などの指標
知覚推理目で見た刺激の関連性を見つけ、推測し頭の中でまとめあげる能力の指標
ワーキングメモリー数的処理能力・耳で聞いた情報を頭の中で保持し操作する能力の指標
処理速度効率的に課題を処理する能力の指標

また、WAIS-Ⅳは成人向けの知能検査であり、対象は16歳0か月から90歳11か月までの方です。

5歳0ヶ月から16歳11ヶ月の子どもを対象とする知能検査は「WISC-Ⅳ」と呼ばれ、同じくウェクスラー式知能検査の1つです。

ADHDの診断を受けるか迷っている方へ

そもそも、「ADHDの診断を受けることが受け入れられない・恥ずかしい」「家族の理解が得られない」などの理由で、病院への診察を迷われている方も多くいらっしゃると思います。

実際、私自身も初めて診断を受けたときはショックでしたし、未だに仕事・生活などの面でADHD診断を申告すると不利に働くと判断している場合も多く、そういったときはADHD診断を自己開示していません。

それでも、私自身、ADHD診断は受けて良かったと思っています。

薬や手帳だけでなく、ADHD特性を自己開示することで「何か困ったことがあったら言って下さいね」と優しい言葉をかけて貰えたり、職場でも合理的配慮をいただけたり、周囲の皆様の協力を得ながら生きていけることが本当に嬉しく思っています。

そして何より、ADHDの診断を受けることで「自分がだらしないだけではなく、脳の特性で仕方ない部分もあるんだ」と気づくことができました。

自分に対する罪悪感にも似た負の感情は和らぎ、さらにADHD脳の特性ありきで自分の生活や仕事の戦略を考えることで、自分の生き方が良い方向に大きく変わったなと感じています。

そして、ADHD脳を理解するだけでなく、「ADHD脳の特性×あなた自身の個性」を理解することで、よりあなたらしい生活が送れるようになります。これが、ADHDコーチングの役割だと思っています。

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